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冬の広島 厳島神社・あなご飯の本場を訪ねる

正月は、仕事上がりに愛媛県今治市大三島にある〝うみまちバル アメリ〟でランチをいただく。これを去年から新年のルーティンに加えた。今年で2回目となるが、シェフもマスターも私の顔を覚えていてくれた。名前を呼びながら駐車場まで出迎えてくれ、「明けましておめでとうございます」と言葉を交わす。毎年同じ店から一年が始まるというのは、実によいものだ。

ここのシェフは石川県で修行された方で、氷見から取り寄せた寒ブリや金沢の新鮮なネタで寿司を握ってくれる。良い意味でガチガチの寿司屋らしくないし、普段提供しているフレンチほど気取ってもいない。本当に良い意味でニュートラルなスタンスが、私には非常に心地よい空間なのだ。4月に2周年を迎えるそうで、記念イベントへのお誘いを受けた。春になったら、またぜひ伺いたいと思う。

昔ながらの渡船が、まだまだ現役である理由

しまなみ海道を通ったことがある方ならお分かりかもしれないが、大三島から広島方面に向かう場合、普通にしまなみを通ると尾道まで行ってしまう。これは、目的地が広島市内だとすれば、かなり東へ回り道をしていることになる。尾道でしまなみ海道を降り、そこから再び西へ進んで大三島の対岸まで戻るのには、実質2時間程度を要する。つまり、2時間かけて一旦東へ移動し、また西へ戻ってきたことになるのだ。


なんとかこの無駄な移動を省く方法はないものか。実は、まさにその解決策が存在する。大三島の北端あたりにある〝盛港〟から、本州の広島県忠海港へと結ぶ渡し船が出ているのだ。わずか20分で対岸まで渡してくれる「大三島フェリー」である。2時間かかる道中が、わずか20分に短縮されるのだから、利用しない手はない。

途中、〝ウサギの島〟として有名な大久野島に寄港するのだが、夜便はそこをスルーして忠海港へ直行してくれるため非常に便利だ。週末は料金が手頃になるのも、公共交通機関の素晴らしいところである。こうした乗り物は大変重宝するが、利用者が減ればすぐに廃止されてしまうため、多くの人にどんどん活用してほしいと思う。しまなみから西へ向かう際は、大三島からフェリーで対岸へ渡るルートが賢明だ。

〝マッサン〟の故郷 竹原市への寄り道

次に、古い町並みが残る広島県竹原市へ立ち寄った。ここはNHKの連続テレビ小説〝マッサン〟の故郷であり、実家である酒蔵がある街だ。主人公たちは北海道の余市でウイスキーを造るが、その原点はこの酒蔵にある。現在も現役で伝統を守り続けている蔵元だが、あいにく正月休みのため閉まっていた。非常に残念である。


と、ここへ来て天気予報の通り、大雪が激しく降り始めてきた。広島は山に囲まれているため、移動の際に山を避けて通ることはできない。雪が積もれば、広島市内へ入ることすら困難になる。観光したのかしていないのか分からないほどの短い滞在時間(おそらく10分程度)で、急ぎ竹原を出発した。


雪は容赦なく強さを増していく。ここから広島市内までは約2時間。どのようにして雪道を走り、ホテルまで辿り着いたのか、緊迫のあまりよく覚えていない。久々に恐ろしさを感じる運転であった。日が暮れると気温は0度まで下がり、しんしんと雪が積もっていく。のんびりあと30分出発が遅れていても、あるいは焦って高速道路を選んでいても、おそらく身動きが取れなくなっていただろう。自身の運の強さに心から感謝した。

次の日は予定通り厳島神社へ

平清盛が建立した厳島神社。富と権力の象徴にしては、あまりにも美しく、過ごしすぎる建築である。訪れるたびに深く感動させられる。失礼ながら、私は広島市内そのものにはあまり強い関心がないため普段は通り過ぎてしまうのだが、この厳島神社だけは、毎年1回は必ず立ち寄ることにしている。やはり、場所との「相性」というものが存在するのだろう。


正月ということもあり、境内はものすごい人出であった。三ヶ日は周辺の駐車場が常に満車で、民間の駐車場は1日2000円などで営業している。料金自体は一向に構わないのだが、「空き駐車場を探して彷徨う」という時間は避けたい。そこで私は少し広島側へ戻り、広電阿品駅前にある「フジグラン」に車を停めることにした。そこから広電に乗り換えて2駅、宮島口まで戻る。このルートは非常に快適であった。


宮島へ渡る船は10分おきに出ているため、待ち時間は皆無だ。すぐに厳島へ渡ることができる。この日は幸運なことに、神前で〝舞〟が披露されていた。大河ドラマ『平清盛』で描かれていたあの世界観が目の前に広がり、唯一テンションが上がってしまった。私はどうやら、こうした伝統の美に滅法弱いらしい。

さて、宮島といえば〝あなごめし〟が有名だ。駅弁としても名高く、非常に人気があるという。宮島口からJRの駅へ向かう道中に、その名店がある。14時を過ぎているにもかかわらず、ウェイティングシートに名前を書いて多くの人が並んでいた。超人気店〝うえの〟である。

実際にいただいてみる。実に美味しい。通常、穴子は下処理が不十分な店で食べると特有の臭みがあるものだが、これほど見事に匂いを抑えた穴子が存在するのかと驚かされた。これなら、行列を作ってでも並ぶはずである。また来年、必ず訪れたい。


さて、駐車場代わりに利用させていただいたフジグランへ戻る。そのまま帰るのは筋が通らないので、「ミスタードーナツ」をたくさん購入し、ささやかな駐車場代の代わりとさせていただいた。温かい対応に感謝したい。広島はやはり素晴らしい街だ。また来年、必ず足を運ぶつもりである。

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